イタリア・ナポリでカウチサーフィン

～イタリアーノとエスパニョール～

僕が居間のソファで寝ているとこの家の飼い猫は僕を起こしにやってきた。僕はこの猫のせいで何日間か寝不足になった。

数日間僕はナポリを満喫した。毎日ナポリを歩き、ナポリを見て、イタリア人とスペイン人と一緒にいて、時には道端でビールを飲み、時には家でグダグダしていた。

そんな中、カウチサーフィンで新たなスペイン人と知り合った。ガラドゥリエルは僕がカウチサーフィンで家に泊めて欲しいとお願いしたときに、自分がスペイン人でナポリに留学しているといった。それを聞いた僕はスペイン語でナポリで会いたいというような事を言うと、しばらく返事はなかったが僕がナポリにいるときに返事が来た。

僕はスペイン人地区の近くの広場で彼女と待ち合わせをした。彼女は10分ほど遅れてやってきた。スペイン人風のすっきりとした顔立ちをした彼女は僕が日本にいたときに習っていた文法書の例文を読み上げるCDの女の人と同じ声をしていた。

ラウルとガラドゥリエルによってユーラシア大陸で唯一スペイン語を話す国、スペインに行く前にも関わらず、僕は1年のときを経てラテンアメリカの訛ったスペイン語で、存分に本家本元のスペイン人と毎日話すこととなった。

家に帰ればイタリア人・外に出ればスペイン人、僕はヨーロッパ人に囲まれた。イタリア人やスペイン人に囲まれ、東洋の島国の若者はどうすればいいかわからなくなったが、みんないい人で、またこのスペイン語を無駄にペラペラ話すがリスニング能力がない日本人を珍しがってくれた。そして段々と別に国の違いなどどうもよくなってきていた。

ガラドゥリエルとは海へ行き、城へ登り、いろいろと話をした。はきはきと物事を言う彼女とははじめ性格が合わないかと思ったがそんなこともなく、僕らは段々と仲良くなっていった。そして彼女はこの意味不明な日本人に対して好奇心を持っているようだった。

卵城から見るナポリ名物の火山と港は爽快だった。海は青く空も青かった。ナポリという街は青く赤く黄色くカラフルな彩をしていた。

僕はほぼスペイン人しかいないフィエスタに行き、死ぬほどモヒートを飲んだ。フィエスタという言葉もモヒートという言葉も懐かしかった。僕は南米でモヒートはあまり飲まなかったがその名前は嫌というほど聞いていたし、南米のフィエスタにいたっては良くも悪くも衝撃的な思い出しかなかった。

そんなモヒートフィエスタで、僕はとりあえず飲んでとりあえずスペイン人たちと抱き合い、握手をしまくって叫んでいた。僕は次の日記憶があまりなくなっていたが、とりあえず馬鹿な写真を撮ってスペイン語で何かを叫んでいた記憶しかなかった。

だが、一人でトイレに行く途中「ずっとこういうことがしたかった。ヨーロッパでヨーロッパの人と話をして、酒を飲んで分かり合うということ、僕はアジアではなんとなく仲良くなれたけど、この旅をはじめるまで欧米人とは仲良くなれなかった。それが今叶った。僕は二重の意味でこのナポリで自分の夢を叶えた」ということを思ってなんとなく心の中で笑った記憶だけはあった。

いずれにしても次の日には体調が悪くなり、何も出来なくなった。そしてそのまま生活はグダグダとし始めてきた。段々とこの街にも飽きが来ていたが、飽きるほどまでにナポリという所にいることができたのは僕にとって幸せ以外の何者でもなかった。僕は一日中一人でいることはせず必ず彼らについていって、瞑想をしたり、映画を見に行ったりした。だが映画は途中で人が多すぎて見れず、瞑想も微妙な形に終わって結局道端でビールを飲むという結果になっていった。

僕は最後の日にもう一度ケーブルカーで丘のある城に登り、ナポリの景色を見た。ナポリは僕にとって、街としても人としても最高の思い出となった。彼らは僕にそんなに干渉しなかったが、僕に必要なものすべてを提供してくれて、そして最高の思い出を作ってくれた。

ジュリーとソーニャは僕が出る前の日にどこかに行ってしまい、僕はハグをして別れを惜しんだ。ルビーナとは最後には会えなかった。

最後の日の夜にガラドゥリエルの家に行き、彼女の友達全員に挨拶をして、ハグとベシートをしてグラシアスと言い分かれた。

ラウルは駅まで見送りに着てくれ、またどこかで会おうと握手をして僕はこの好青年と別れた。

結局ナポリは2日で終わるはだったのに1週間以上いた。ヨーロッパ自体1ヶ月で終えるはずがイタリアだけで20日以上いることになっていた。

このゆっくりペースをどうにかできないものかと思いながら、僕はジェノバ行きの夜行列車に乗った。

Fannyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy.１年９ヶ月、ようやくあなたに会いに行きます。