~とり**とらべりんぐ~

その日、僕はくろきくんと一緒に新しい宿に移動しました。天気が悪く、雪が降っていました。

部屋で前日に買った野菜の漬け物のようなものを食べました。オランダの名産品です。10年位前には日本にもあったけど。

これを食べると僕はものすごい吐き気に教われました。正直怖かったです。なんどもなんどもトイレに行きました。部屋には彼がいましたが何かに集中している様子でマックを見ていました。

僕は集中している彼に話しかけるのはやめようと思い、部屋でうなりながらベッドに横たわっていました。

だんだん気持ち悪さは増してきました。そしてついにトイレで吐きました。あの漬け物みたいなやつも一緒に吐けばいいのにと思いました。

そして再びベッドに横たわって音楽を聴きました。癒し系音楽と言うフォルダをずっと前に作ったのを思い出し、普段聞かないけれど、気分を落ち着かせるために聞きました。

何分経ったのか、あるいは1時間経過したのか、まったく時間の感覚がわからなくなりました。眠ったのか眠っていないのかもよくわかりませんでした。

瞑想系の音楽が流れてきて、僕はまるで自分が宇宙にいるかのような夢を見ました。

トラベル、トラベル、、、僕はトラベルをしている。トラベル、トラベル、
この宇宙空間のような場所は正直、とても素敵だったけど、ずっといたくはない場所でした。理由はわかりません。
僕は落ち着く普通の生活のほうが似合っていると思いました。

それは、トラベル、同じ意味のトラベル、今の長期旅行も一緒でした。このトラベルの中で僕は国籍をなくし、なんとなく戻れなくなるんじゃないかと思っていましたが、僕には家族がいます。日本に家族がいる日本人なのだと思いました。

なんでこんな簡単なことに気づかなかったのだろう?

その瞬間に僕の頭の中が光で爆発しました。川のせせらぎと自然の、心を癒す音楽がパソコンから聞こえてきました。

僕はその瞬間に文章を書きました。以下のとおりです。ワードの画面がドラマみたいに白くキラキラとしていました。

「日本が好きだ。
いろいろと考えてとてもいやなことがあるけれど、それでも僕は日本と言う国が好きで、日本と言う国にいたいと思う。それは僕が育った場所だから。それが僕が決まりに決まって決めた答えだった。
ここで終わるつもりはない。けれど、終わってもいいかもしれない。
好きなんだ。自分が生まれた場所、親、家族が。
心のそこから好きといえる。ずいぶんと遠回りしたけれど、それが僕にとって本気で好きだといえるひとつの場所なんだと。
とても心は落ち着いていて、********。
本当はちょっとだけ怖かったけど、でも、でも、僕は冒険がしたかった。ただ、冒険がしたかった。
家族に対してありがとうといいたい。月並みだけど、それが今の本気の、僕の気持ちです。
育ててくれてありがとう。そして、これからもよろしくね!」

今まで外ばかり外ばかり見てきました。「内なる自分」と言う言葉の外すらを見てきました。わかりました。僕は家族を大切にして普通に生きて生きたいと。

日本に住むか住まないかはわからないけれど、でも、まずは家族をもっと大切にしようと思いました。冒険はいつか終わらなければなりません。

僕は今非現実にいます。ですがいつかは現実に戻らなければいけません。物理的な意味ではなくて精神的な意味で、僕は普通に戻りたいです。

こう考えたときつながった。この旅の中で胸の中にあるもやもやしたものがつながった。

普通に戻りたい。それは自分の意志でできることなのだと思う。バックパッカーはもう終わりで、次のステップに行きたい。日本に住むとしたら、原発とか色々と考えて子供とかは作らないだろうけど。

今すぐ帰ることも考えた。事実、これがただの旅ならば、いわゆる観光名所と日本人同士との絡み合いしかない世界一周系バックパッカーの旅ならば、僕は喜んでアムステルダムから日本に帰るだろう。

だが、僕の旅は種類が違う、これからの未来につながる、多くの人と笑い会う、現地の生身の人間との出会い。人との出会いは大切にしたい。いいものでも悪いものでも。

色々と考えて、8月に日本に帰ろうと決めた。あと約半年。

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