マドリッド旅行記





~飲んだくれ~

マドリッドの空は素敵だった。僕は旅中忙しいという意味不明の状態になりながらも空いた時間にマドリッド市内を歩いた。

ペレの家から官庁街であるヌエボスミニステーリオスの駅にたどり着き、そこからセントロを目指して歩いた。マドリッドは首都とはいえ、ロンドンやパリと比べるとそんなに大きくなく、また、緑も多く過ごしやすそうな街だった。僕は天気のいいマドリッドを爽快な気分で歩いた。

30分ほど歩くと大きな広場にたどり着いた。左側には昔見たことがある大きなお城のようなモニュメントがある。僕はこれがプラド美術館だと思っていたが、どうやらまったく違うカサデアメリカという建物のようだった。青い空に生える真っ白なお城と、黄色と赤で彩られたスペイン国旗が素敵だった。

マドリッド

僕はこのままプラド美術館を目指した。プラド美術館は午後6時以降無料になると聞いていたが、僕は夜にエステルの家に移動しなければならなかったため中に入ることはできなかったが、とりあえず建物だけでも見ようと重い、まっすぐに大きな道を歩いた。

プラド美術館の後ろにはレティーロ公園という大きな公園があった。この公園を歩いているうちに段々と温かくなり、僕はマフラーをとり、セーターを脱いだ。晴れ晴れしていて気持ちいい。マドリッドの緑の多さ、首都なのに首都らしくないこの純朴な感じ、、、僕はマドリッドと言う街がどんどんと好きになった。

マドリッド

午後5時に僕はエステルと約束をしていた。ペレの家に戻り荷物を持ち、彼と硬い握手をして僕は家を出た。エステルの家は1号線の最終地点にあった。セントロから30分ほどで着く場所だが、若干遠さを感じた。だが、家にタダで泊まれるという事実には勝てなかったし、いまさら宿に泊まろうとは到底思えなかった。

結局僕は5時半ごろにエステルの家に到着し、荷物を置いた。彼女と彼女の彼氏は夜中働いて日中眠る生活を送っているため、エステルはまだ眠っていた。自分が来たことで起こしてしまったのかと思ったが、彼女はそんなに気にせずに家の説明をしてくれ、携帯を貸してくれた。どうやら彼女は時々日中も仕事をしているようだった。

僕は自炊するために近くのスーパーに行った。夕焼けが綺麗だった。旅をしていて空を見ることが増えた。空はいろんな顔を持っていて、青だったり赤だったり、白だったり灰色だったりする。空は青だけではないという現実を知った。それは旅をしなければ絶対に気がつかないことだった。

マドリッド

スーパーに売られているスペイン名物生ハムに目をやりながら、自分の買い物をした。いつものようにパスタとソースとパンと、野菜などを買い、家に戻った。彼らにいつものように日本食を作ろうと考えたがしょうがが売っていなかった。

彼女らは仕事が忙しく、また昼夜逆転の生活のため僕をあまり感知しなかった、僕はそれを当たり前のことだと考え、最低限のコミュニケーションをとりながら、生活をしていた。彼女の家は心地がよかった。僕は幾多にもわたるカウチサーフィン生活をしてきたことで、段々とカウチサーフィンの生活に慣れ始めてきていた。

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彼女が眠っているとき僕は行動し、僕が眠っているとき彼女が行動するため家の中ではあまり話をしなかった。だが、彼女は週末に行われる日本人とスペイン人の国際交流パーティーに僕を連れて行ってくれると言っていた。僕は彼女と、そしてカウチサーフィンで知り合い、前日にインド料理屋でビールを飲み明かし、そのまま家に泊まったスペイン人フアンと一緒に待ち合わせをしてそのパーティーに行く予定だった。

僕は「熊のモニュメントの前」でフアンと合流した。フアンの友達と一緒に適当におしゃべりをして待っていたが、彼女はあらわれなかった。

僕は何回も彼女に電話をしたが、応答がない。どうやら眠っているようだった。無理もない。夜中に仕事をして時々日中も仕事をしている。僕はフアンと、彼の友達と一緒に飲みに出かけた。

ガリシア料理の店に行き、魚介類を食べた。ビールが進む。彼らはガリシア出身だった。そんな彼らは僕にガリシアについて語った。海の幸が豊富で、言語が違っていて、スペインでありながらスペインではないとうことを教えてくれた。スペインは色々な言語があり、所謂スペイン語はカスティーリャの言葉カステジャーノである。そのほかにもカタルーニャ地方のカタラン語、バスク地方のバスク語、ガリシア地方のガリシア語、と多くの言語があると彼らと話して知った。

僕らはバーに行きビールを飲んだ。もう連続一週間くらい飲んでいるのだろうか?もはやわけがわからなくなり、とりあえず僕は飲んだくれていた。

・・・僕は体力の限界を感じ夜11時ごろに帰った。酔っ払いながら次の日のことを考えていた。

早く帰ったのにはもう一つ理由があった。

モニカ、、、出会ってから2年2ヶ月。やっとあなたとスペイン語を話せるよ。

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