グラナダのアルハンブラ宮殿





~アルハンブラ宮殿~

ポルトガルからもう一度セビーリャを経由して僕はグラナダへ向かった。

イベリア半島はウマイヤ朝、アッバース朝、後ウマイヤ朝、、、、といったイスラム勢力に支配され、カスティーリャ王国、レオン王国、アラゴン王国などのキリスト教勢力は常にイスラム勢力と戦っていた歴史がある。所謂レコンキスタである。

キリスト教勢力が支配を拡大し続ける中、イベリア半島における最後のイスラム王朝であるナスル朝が首都を置いたのがアンダルシアのグラナダ。そしてそののカリフが作った宮殿がイスラム建築の最高傑作、アルハンブラ宮殿である。

そしてついにイスラム勢力は完全にキリスト勢力に破れ、レコンキスタの完了と同時に後ウマイヤ朝のカリフはアルハンブラ宮殿をスペイン王国のイサベルに明け渡しアフリカ大陸に帰っていった。

そのため、このグラナダにはヨーロッパでありながらイスラムの雰囲気が数多く残っている。

僕はスペイン史を勉強すればするほどグラナダに行きたいという想いを強く持つようになった。

・・バスがグラナダに着いたときはすでに夜になっていたが、スペインは春を迎え、夜9時ごろまで明るかった。僕はバスターミナルから30番のバスに乗り予約した宿に向かい、長時間バスに乗った疲れか、すぐに眠った。宿は比較的快適だった。

次の日、僕はこの街をくまなく歩き回った。グラナダの街並みは思ったとおり素晴らしかった。何よりも天気がいい。天気のよさは観光に大きく左右されるとこの旅で強く意識するようになった。青い空と緑色に輝く木々は何よりも素敵な観光名所のひとつだった。

僕は今までずっとスペイン人と一緒にいた疲れを一気に開放するように旅感を感じ、躍動感を覚えながら椅子に胡坐をかきながらタバコを吸ったり、歩き回ったりしていた。どんどんと体が軽くなっていくのがわかった。現地人と会うことと一人旅は似て非なるものであるとわかってきた。

グラナダにも他の街と同じようにカテドラルがあり教会がある。だが、それらのキリスト教建築はどこかアラブの雰囲気を保っていてエキゾチックな街並みになっていた。特にアルバイシンと呼ばれるイスラム王朝時代の街並みが残る地区は僕にイスラムを思い出させた。僕はヨーロッパと同じくらい中東が好きだった。

グラナダ

グラナダ

アルバイシン地区にある丘は一つの観光名所となっていた。僕は4~5時間ほどアルバイシン地区をうろうろとしながらこの丘で座りながらアルハンブラ宮殿を眺めていた。アルハンブラ宮殿の置くにはシエラネバダと呼ばれる雪山がそびえている。その光景は絵葉書のようだった。誰かがギターを弾き、アンダルシアの陽気な音楽を奏でている。僕は異国にいる気分に浸った。これこそが誰もが思い浮かべる情熱的なスペイン。スペインの中のスペインだと思いながら静かに音楽を聴き、アルハンブラ宮殿とシエラネバダを眺めていた。

アルハンブラ宮殿

僕は夕日を見たかったが、時間が余っていたのであたりを歩き回った。旧市街が見える別の丘や教会を見てまわったが、途中で疲れ広場で昼寝をしていたら時間はいつの間にか過ぎていた。

再び丘の上に向かい、アルハンブラ宮殿が赤く染まるのを見ていた。

その横には日本人らしき人がいた。とりあえず日本人かどうかもわからないので話しかけるのはやめようかとおもったが、単純に自分の写真を撮ってもらいたいという事情もあり、写真を撮ってもらった。

あゆみさんは世界一周バックパッカーだった。だが、今まで出会ってきた世界一周バックパッカーとは雰囲気が全然違っていた。久しぶりに日本人と話したこともあってか、なぜか話は弾み、僕らはバーに飲みに行くことになった。

彼女はヨーロッパの食事を旅の目的の一つにしていた。その話は聞いていて本当に楽しかった。バーで美味しいスペインのイベリコの生ハムとチーズを食べながらワインを飲んでいた。僕は一人酔っ払い、訳のわからない話をずっとしていた。彼女はその話を聞いて爆笑に近いほどずっと笑っていた。

面倒くさがらずに日本人バックパッカーと話したのは久しぶりだった。これまで数えるほどしか日本人バックパッカーとちゃんと話をしていない自分にとってやっぱり日本人っていいなと思わせるには十分だった。

彼女は偶然にも次の目的地が僕と同じバレンシアだった。僕は次の日の夜、暇だったのでバスターミナルまで彼女を見送りに行った。

その次の日、僕は街をぷらぷらしながらアルハンブラ宮殿のある丘に登ったり、タパスというスペイン風の酒のつまみとカーニャと呼ばれるコップいっぱいのビールを飲みながらのんびりとしていた。グラナダではビールを飲むと必ずタパスがついてくるというのは有名な話だった。

夜行バスでバレンシアに向かった。「バレンシアでパエリア祭りをしよう!」という約束が楽しみになっていた。

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