〜数時間のアメリカ滞在〜思いのほかロサンゼルスには早く着いた。 風邪で咳が止まらず、とりあえず飛行機の中でずっと寝ていた。咳が出ていた事で他の乗客やフライトアテンダントに心配されていた。が、もはやそんなことはどうでもよくなっていた。ただただ、時間が過ぎるのを待った。そして入国できるかどうかを考えていた。 現実的に考えて出国用のチケットを持っていて入国できないと言うことはありえない。頭の中ではわかっていても万が一という不安が胸から離れなかった。 ロサンゼルスに到着し、入国審査を待った。アメリカは入国審査を入念に行っていた。7年半前にきたときはそんなに長くなかった。日本のパスポートを見せたらすぐにスルーしてもらえた記憶がある。この7年半の間に何が変あったのだろうか? 1時間ほど待った。入国審査官はどの人も厳しそうな目をしていた。一人ひとりに入念に 入国の目的などを質問し、指紋などを取っていた。みんな軍人のようである。怖くなった。本当に入国できるのだろうか?不安になったが、100人くらい見てきて戻されている人はいない。そもそもただのトランジットなのに強制送還などされるわけがない。でも不安だ。 メキシコに行くチケットを用意していたらキューバ行きのチケットまで出してしまった。そしてそのまま気づかずに入国審査官の所に行ってしまった。やばい!キューバとアメリカは敵国同士である。ここでキューバに入国することがばれるのはまずい!焦ってキューバ行きのチケットを隠そうとしたが、入国審査官はそんなチケットなど見向きもせず、パスポートを見せた瞬間に笑顔になった。 「ロサンゼルスヘヨウコソ」
・・・あっさりと入国審査を通過した。今までの不安は何だったのだろうと拍子抜けした。 軍人のような入国審査官は日本のパスポートを見るなりカタコトの日本語で話し、ほとんどスルー状態で通過させてくれた。 入国して外に出ると、人口甘味料の匂いがした。アメリカだ。7年前にきたときを思い出した。何も変わっていない。このいい意味で毒々しい人口甘味料のような甘い匂い。外国に来た実感がわいてきた。 ただ、実感したものの、風邪と時差ボケで意識が朦朧としていた。
ふらふらになりながら、メキシコシティ行きのチケットのカウンターを探してさまよい歩いた。どこか分からず英語で聞くがどの人もかなりきつい。きついけど優しい。気持ちをストレートにぶつけ合う言葉のやり取りは久しぶりで戸惑ったが段々と思い出してきた。日本の優しさとは種類が違うがこのストレートな優しさを嫌いにはなれない。 アエロメヒコのカウンターでチェックインをしてチケットをもらい、荷物検査を受け、出国をした。出国のスタンプが押されていないが大丈夫なのだろうか?そもそもこれは入国なのだろうか?完全にトランジットでしかないがなぜスタンプが押されているのだろうか?まぁ、もういいだろう。そんなことを考えている余裕はなかった。 意識が朦朧としながらメキシコシティ行きの飛行機を待った。眠っていたら意外と時間が経つのは早かった。 さぁ、いよいよメキシコへ! TOP NEXT |