メキシコ旅行記/メキシコのバス



〜高速道路は続くよどこまでも〜

メキシコの観光地はクリスマスシーズンになるとどこも一杯になる。カンクンにはアメリカやヨーロッパなどの旅行者で一杯になり、空港は人でごった返していた。キューバには見られないアメリカンな光景を目の当たりにしてメキシコに帰ってきたことを実感した。

僕はキューバに行く前にケレタロでお世話になったアリスとその家族、彼らと一緒にクリスマスを過ごすことを約束していた。空港に到着したのが21日の夜、カンクンからケレタロまで相当の距離がある。

イミグレを終えると財布ががないこと気づいたがに特に気にせず先に進んだ。100ペソくらいしか財布に入っていなかった。盗まれたのか落としたのかも分からない。でも、もうどうでもよかった。とりあえず先に進みたい。あと3日でケレタロに行かなければならない。旅をゆっくりしているはずがこういうところでなぜか焦っていた。自分で焦っていることに気づいていたけれど一度焦るとどんどんと焦ってしまいもうとめられなくなっていた。

できればその日のうちに飛行機でメキシコシティに行き、そのままバスに乗ってケレタロに到着したかった。メキシコには何社もLCC、格安航空会社がある。その中でもビバアエロブス・インテルジェット・ボラリス航空は空港にカウンターがあったのでそれぞれ値段を聞いて回った。やっぱりクリスマスが近いとどこも高くなる。どこも当日は13000円くらいだった。バスが9000円と考えるとちょっと高い。ここであまり予算を使いたくない。

今度はネットで調べた。メキシコはネットが使える。いや、キューバでネットが使えないだけで世界中ほとんどの国でネットは使える・・そんなことを忘れるくらいに焦っていた。何に焦っていたのか全然わからないがなぜか焦っていた。

財布を取られ、現金を一ペソも持っていないのにWifiカフェに入り、格安航空券をネットで探した。せめて明日には飛びたい。明日にメキシコシティに到着できれば24日にはケレタロに余裕で着く。なぜ祈っているのか全然わからないまま祈るような気持ちで航空券を探した。スカイスキャナー・カヤック・モモンド・・・格安航空券検索サイトを駆使しカンクンーメキシコシティ行きのチケットを探したが当日の便はなかった。しかもクリスマスシーズンはやはり値上がりしている。24日当日のチケットは8000円くらいだったが22日・23日は13000円くらいだった。

24日の夜にメキシコシティに到着したとしてもケレタロはそこからさらにバスで3時間と考えるとどう考えても間に合わない。あきらめてバスで行くことにした。空港からバスターミナル行きのチケットを買い、バスでバスターミナルに向かった。バスの値段は来たときと変わらなかった。大体9000円くらい。飛行機とほとんど変わらない値段にイライラしたが、やはり5000円の差は大きい。僕は22日からの夜行バスのチケットを取った。

21日はカンクンに一泊しなければならない。カーサ吉田に行くと、ベッドは一杯だったがオーナーのルルさんはドミトリーに簡易ベッドを用意してくれなんとか泊まることができた。部屋でネットをつなぎ、アリスに連絡した。多分、24日にはケレタロに到着できるということを伝えると彼女は家族みんなで待っているというようなことを言った。この家族は僕のことを気に入ってくれているようだった。

僕はどうしても現地人と一緒にクリスマスを過ごしてみたかった。日本人同士で日本人宿に泊まることは楽しいけれどこういうイベントのときこそ現地の生活が見える。それもあのクレイジーなメキシコ人である。そのクレイジーさを見ることを、前にここに来たときから楽しみにしていた。



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翌日、22日の夜20時にバスは出発した。カンクンからメキシコシティまで大体24時間、23日の夜20時にはメキシコシティに到着できる。運がよければその日のうちにケレタロに向かうバスに乗れる。メキシコシティからケレタロまでは大体3時間・・・前日には到着できる。

なんとかなりそうだと安心し、バスの中で眠った。24時間のバスが別になんでもないほどに感覚が狂っていた。バスは高速道路を走っていく。朝になり、もう一眠りした。時計を見ると午後14時だった。あと6時間でメキシコシティに到着できる。もうすぐ到着できる期待感に溢れてバスの中でなにもせずに過ごした。



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24時間が経過した。全くメキシコシティに到着する気配がない。後ろの席の初老の女性ににここはどこかと尋ねると「プエブラ」と言った。プエブラ・・・カンクンに来たときに通った道・・・地球の歩き方を見るとメキシコシティからプエブラまで3時間〜4時間と書いてある・・・・

あと3〜4時間。24時間バスに乗り続けてさらに3〜4時間・・・
・・・もう限界に来ていた。どうでも良くなり眠ろうとしたが目がさえて眠れない。とりあえず座って待つ。高速道路はどこまでも続いていく。そして25時間目を過ぎた辺りから渋滞に巻き込まれ始めた。

限界に来ていたと思っていた自分が限界に来ていなかったと思えるほど自分の体力に限界がきはじめた。メキシコシティに一泊して当日のバスでケレタロに向かうことを考えた。が、もしバスが満席だったら?・・・・もう、だんだんとどうでも良くなってきた。むしろここまでお金と労力を使っていること自体が楽しくなってきた。テンションだけは無駄に上がる。そしてバスは渋滞の中少しずつすこしずつ進んでいく。



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結局、バスは夜中の1時にメキシコシティに到着した。時差があるのでよくわからないが28時間〜29時間くらいバスに乗っていた。メキシコシティは寒い。一気に20度くらいの気温差を体験した。カンクンはアメリカのリゾート地のようなのにメキシコシティは冬のヨーロッパのようだった。

バスが到着したのはメキシコシティの東バスターミナル、ケレタロ行きは北バスターミナルだった。そしてこの時間には地下鉄も走っていない。タクシーチケットを買うが、ここにも人が溢れている。焦りを抑えながら30分ほど待ち、タクシーで北バスターミナルに向かう。

北バスターミナルでケレタロ行きのチケットを買うと時間が朝6時出発だった。現在夜中の2時、、、もう、これから宿に行く気力も体力もない・・目覚まし時計だけセットし、夏服から冬服に着替え、バックパックを枕に、ジャケットを毛布にして、そのままバスターミナルで眠った。

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