メキシコ・モンテレイでホームステイ



〜モンテレイ〜

ペンションアミーゴには日本語の本・漫画・マージャン卓が置いてあり、当たり前のように日本人しかいなかった。中庭に洗濯物を干すスペースがあり、洗濯洗剤も用意されていた。会話はすべて日本語であり、メキシコに長くいる沈没者同士が固まっていて普通の旅行者が入りにくい雰囲気を出していた。

僕はある程度ペンションアミーゴにいた日本人と話をしたものの、彼らはマリファナやコカインの話や身内にしかわからないような話をしはじめたのでほとんどついていけず、話をずっと聞いていた。僕が話した人たちは沈没者というよりはむしろメキシコに住み着いている人たちだった。まだまだ世の中には色んな人がいる。

イエローカードを手に入れた今、メキシコシティにいる必要はなかった。僕は次の目的地・モンテレイに向かった。



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メキシコ北部に位置するモンテレイという街に旅行者はほとんど訪れない。特に見るべきものもなく、これから南に向かう旅人にとって位置も逆になる。普通に考えていく必要はない。

それでも行く理由は一つしかなかった。
ここにもライブモカで知り合った友達がいる。

マリソルというライブモカ上の友達とはアリスと違ってウェブ上でもそんなに仲がよかった訳ではなかった。今まで月に一回も話をしていなかったし、話をしてもそんなに盛り上がっていたわけではなかった。モンテレイと言う位置を考え、会うつもりがなかったから僕としてもそこまで仲良くしていなかったのかもしれない。

ケレタロにいる時に、考えを改めた。北に行く移動費が高いと言う理由で行くのをやめようと思っていたが「できる限り多くの現地人と関わっていって、そのためにお金を使う。」という考えに変えた。この旅はただの旅行にしない。そして日本人同士で固まって、適当に観光をして、ただただ盲目的に日々を過ごすのではなく、あくまでも現地人とできるだけ多く、そしてできるだけ深く関わっていこうと思った。僕はケレタロにいた時にスカイスキャナーでモンテレイ行きの格安往復航空券を探し、1週間FIXで9500円のチケットを見つけていた。



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メキシコシティからモンテレイまではメキシコのLCC・ビバアエロブスで1時間半〜2時間くらいだった。僕の今までの旅ではバスと電車の移動がほとんどで、LCCに乗ったことはなかった。LCCは荷物制限があり、機内食なども出ない。が、格安で飛行機に乗れる。僕にとっては格安であればサービスの質などはどうでも良かった。

飛行機の中で、眠っていたらいつの間にかモンテレイに着き、前日にスカイプで連絡していた時間に空港の入り口で彼女を待った。

僕と同じくらいの年齢の彼女は全身真っ黒で髪の毛をメッシュ上に金髪に染めていた。あきらかに日本のビジュアル系バンドの格好だった。僕も昔ビジュアル系バンドが好きだったことがあったのでその姿には驚かなかったが、この遠く離れたメキシコで、なんとなく懐かしさを感じてしまった。

マリソルはお父さんと一緒に迎えに来てくれて、セントロに向かった。メキシコ先住民はモンゴロイドの顔をしている。彼女も彼女のお父さんもモンゴロイドの顔をしており、まるで日本人のようだった。そしてモンテレイはケレタロやメキシコシティと違ってほとんどスペイン風のコロニアルな建物がなく、代わりにアメリカのような日本のような世界共通の普通のビルがあちこちに建っていた。空港からハイウェイでセントロに行くまでにいくつもセブンイレブンがあり、人も街もどこか日本のような感じがした。

セントロまで車で送ってもらい、一緒に食事をした。彼女はベジタリアンで肉も魚も食べない。僕も一時的にベジタリアンになっていたので好都合だった。3人はベジタリアン専用のレストランで食事をしながら談笑していた。

彼女も彼女のお父さんも日本にきたことがあり日本のことを良く知っている。そして、二人とも人間的に落ち着いており、そんなに騒いだり、ベラベラと話す性格ではなかった。ある程度礼儀正しく、普通に接していれば普通に会話ができる。僕はケレタロで今まで若い子たちと接して色々な問題があって疲れていたせいか、この人たちの性格がとても好ましく見えた。

僕は事前に「モンテレイに行ったときに家に泊めて欲しい」というようなことをお願いしていた。彼女は快く承諾してくれて、彼女のおばさんの家に泊めてもらうことになった。日本的感覚なら図々しいということになることはわかっていたが世界基準ではこれは普通のことだった。

こうして、僕はメキシコでホームステイをすることになった。

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