タパチュラ国境



〜タパチュラ国境〜

アミーは学校を休んでバスターミナルまで見送りに着てくれた。僕は学校を休んで欲しくないと何回も言ったけれど聞かなかった。

ADOのバスターミナルまで彼女のお兄さんが送ってくれたが結局ADOは時間に合うバスがなかったためタクシーで他のバスターミナルまで移動した。バスが来るまで30分ほどあったのでアミーと話をしていた。これが別れになるということが想像できなかった。

悲しいとか寂しいとかもよくわからなくなりながら別れを告げた。彼女の「いつ戻って売るの?」という言葉が痛かった。いつここに戻ってくるかはわからない。戻れないかもしれない。僕は正直に「戻ってこれるかはわからない」と言った。

バスが来て、僕は別れを告げた。大きな声でGracias!Adios!!!と叫んだ。彼女は笑っていた。



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僕はテワカンで南米行きのチケットを取った。コスタリカの首都サンホセからボリビアのラパスへのチケットである。目指すはサンホセ。あまり時間がなかった。エルサルバドルでもう一人友達と会う約束をしている。それを考えるとかなりタイトに進んでいかなければならなかった。

バスは4時間ほどでオアハカに着いた。ここでタパチュラというグァテマラとの国境の街へ行くバスに乗り換える。偶然にも接続がよく2時間ほどでタパチュラ行きのバスのチケットを取ることができた。オアハカは暑かった。人々もメキシコシティとは全然違っていた。いい意味でうるさく、汚く、完全にアジアの雰囲気を醸し出していた。僕はタクシーで別のバスターミナルに移動しタパチュラ行きのバスを待った。

夜7時ごろにタパチュラ行きのバスは出発した。バスは揺れた。揺れすぎて眠ることができなかった。このバスに12時間も乗るのかと思うと愕然としたけれど旅をしているのにバスがきついなどとは言ってられない。偶然にも隣の席が空席だったため、僕はガイドブックを枕にして、二つの席を使って、体を丸め込んで無理やり眠った。



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朝7時ごろ、バスはタパチュラに着いた。タパチュラからグァテマラのへ国境はバスで30分もない。僕はグァテマラをスルーしたかったので中米を横断するTICAバスを探した。TICAバスは何故かオフィスがなく、どこに行けばいいのか分からなかったが、どうやらバスの運転手に直接お金を渡して乗り込む形式のようだった。バスの運転手にエルサルバドルのサンタアナに行きたいというと、彼はグァテマラシティで乗り換えなければならないというようなことを言った。グァテマラシティには降りたくなかったが、どうしようもないのでそのままバスに乗り込んだ。 バス代は19ドルだったが、僕はメキシコペソしか持っていなかったので、グァテマラに着いてから両替して払うことにした。

メキシコの国境はすぐだった。僕は持っていたペソで出国税を払い、パスポートにメキシコの出国スタンプを押してもらった。メキシコとの別れの瞬間だった。

ついにメキシコと別れることになる。メキシコは楽しかった。人生で一番楽しかったかもしれない。色んな人に色んなことをしてもらい僕は自分のできるすべての力を使って色んな人と交流してきた。この国には感謝の気持ちしかない。

いつ、どんなときでも明るく笑っている国だった。時には気持ちがぶつかり合うこともあったけど、それでもこのストレートな気持ちのぶつかり合いは僕にとって新鮮であり、楽しかった。

メキシコに旅立つ前に、フェイスブックで誰かが僕に言った言葉を思い出した。 「あなたは絶対にメキシコを好きになるしメキシコはあなたを愛しているわ。」

その通りだった。僕はメキシコを大好きになりメキシコも僕を好きになってくれていた。

ありがとう。

僕は国境を越えグァテマラに入国した。

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