中南米・メキシコ旅行記/カンクンとカリブ海



〜カリブ海〜

ケレタロのバスターミナルはそんなに遠くなかった。

アリスとお母さんとおばあさんが見送りに着てくれた。この国の女性はいつでも親しい男性の頬に、出会いと別れのキスをする。

バスに乗りカンクンに向かった。カンクンはカリブ海沿岸にある世界有数のリゾート地であり世界各国からお金持ちが集まる街である。が、僕にとってはそんなことは関係なく、ただ単に、キューバのゲートウェイとなることからこの街は避けて通れなかった。

昼の12時にケレタロからバスが出発し、午後4時にプエブラに到着した。
この街でカンクン行きのチケットを購入すべく、チケットカウンターに向かった。ここでチケットカウンターの若い女性にカンクン行きを告げ、手配をしてもらう。自分で席を選び、自分の名前をコンピューターに打ち込む。

カンクン行きのチケットは1500ペソだった。日本円で9000円くらいである。
メキシコは概して物価が安い。宿が一泊1000円くらい、おそらくもっと安い宿もあるだろう。お洒落なレストランでランチをコースで食べて240円くらい、屋台でタコスやピザを買って60円くらいである。

その中の9000円、、、国土が広いと言うこともあるだろうが、この値段ではチケットによっては飛行機の方が安上がりになる。この国の金銭感覚が分からなくなり戸惑った。

バスが出発するのが8時半。荷物検査を終え、座って待つ。誰一人として外国人はいない。周りはメキシコ人らしき人ばかりだった。カップル・夫婦・家族、様々な関係のメキシコ人がバスステーションでバスを待っている。バスステーションのスタッフは対応が一つ一つ丁寧であり先進国のような振る舞いをしている。それでもやはり英語は話せない。




8時半になり、出発の時間となった。この国のバスのサービスは日本以上によかった。バスにはトイレがついていて、出発前にジュースとサンドウィッチのサービスがある。日本のように、大きな荷物は庫内に預け、指定した席に乗り込む。

道路が悪いせいかバスは揺れる。なかなか眠れない。バスは関係なく走っていく。

夜中になってやっと眠れてきた途端、メガネをかけ背広を着用し、髭を蓄えた中年の男性ドライバーが「セニョリータ・セニョリータ」と声をかけてきた。どういう理由かは分からないがバスを降りろと言っているようだった。乗客は全員パーキングのようなところで降ろされ、バスはどこかへ行ってしまった。ここで眠ってしまって置いていかれたらということを考えると眠るわけには行かない。眠い目をこすりながらひたすらバスが来るのを待った。
20分ほどでバスはやってきた。そのまま眠りに着く。

目が覚めるとまだバスは走っていた。今何時なのかアイポッドを見れば分かるのだがもはや見るのも面倒になっていた。バスは走り続ける。そういえば昨日の昼からしっかりしたものは何も食べていない。シャワーも浴びていない。段々と空腹になっていく。体はベタベタし始め、髪の毛はボロボロになっている。バス酔いし始めていて気持ち悪い。

バスは鬱蒼とした森の中をどんどんと走り続ける。段々と日が沈んでいった。面倒だったがアイポッドを見た。夕方5時を過ぎていた。すでにケレタロを出てから28時間が経過している。「もう、何時間このバスに乗っているのだろう?」数えるのも嫌になったがこのバスに乗ったのが昨日の8時半だとして約20時間ほど同じバスに乗り続けている。

本を読むとバス酔いがひどくなるのでひたすら眠って到着を待つ。




それから数時間でバスは着いた。結局出発から30時間ほどバス移動をしていた。心身共にボロボロになりながら夜のカンクンの街で宿を探した。

カンクンは二つのエリアに分かれている。いわゆる世界各国からお金持ちが集まるホテルゾーン、そして地元民が住んでいて、バックパッカーが集まるセントロである。カンクンは南国の匂いがする。バスステーションはセントロにあり、ここから日本人宿を探した。今の段階で日本人とはそんなに話したい訳ではないがキューバの情報が必要だった。日本人宿に行けば情報ノートがあり、実際にキューバに行った日本人から情報を得れる。

カーサ吉田という日本人宿が地球の歩き方に載っていた。ここを目指して歩き続ける。セントロのメインストリートから2ブロック住宅街の方へ向かい、OXXOというコンビニの近くにあった。入り口には日本語で「カサ吉田」と書いてある。

呼び鈴を押してスタッフらしき人が出てくる。英語を話す。久しぶりに英語を聞いた。そして部屋に向かうと日本語が聞こえる。さらに久しぶりに日本語を聞いた。日本語の情報ノートがあり、日本語の本がおいてあり、日本語の漫画が多数おいてある。典型的な日本人宿だ。

やはり日本人同士、日本語で話せるのは大きい。すぐに打ち解け、翌日になって日本人同士でビーチに行くことになった。

ホテルゾーンにバスで行き、パブリックビーチで泳いだ。ホテルゾーンはセントロとはまったく違う雰囲気だった。数々のホテルが並び各国のセレブのような感じの人がうろついている。英語表記が現れ、ここで働いている人はみんな英語が話せる。そしてカリブ海は日本の海より数倍綺麗だった。なぜ、同じ海なのにこんなにも透明度が違うのかわからなかったが泳いでいるとそんなことはどうでも良くなった。海に入って外に出ると寒かったのでずっと海の中で泳いでいた。

カンクンのカリブ海

ビーチで泳ぎ帰ってビールを飲み話す。旅の情報交換はもちろん、日本のこと、世界のこと、、、、色んなことを色んな立場の人と話す。この感覚は懐かしかった。これだけ年齢も性別も立場も違う人とこんなに近い距離で話すということは旅でしかありえない。そして旅人は具体的な目標が違っていても考えていることは似ている。日本で話すのとは違う雰囲気で話すことができる。こういう話を一つ一つ大切にしたいと旅に出る前から考えていた分、やはり旅人同士の話は楽しかった。



もうすぐキューバに行く。キューバはビザは必要ないがツーリストカードというものが必要な国である。ツーリストカードは旅行代理店で申請すると地球の歩き方にあるが宿のオーナーに聞いても周りの日本人に聞いても空港で取れるということだったので安心した。そして情報ノートに書いてある内容を自分のノートに書き写し、ネットでキューバのことを調べ準備を進める。準備や情報集めはこれからの旅を楽にしてくれるのと同時にそれ自体が楽しいものであった。

キューバ。フィデルカストロとチェ・ゲバラの国である。この国の社会主義体制が実際どうなっているのかを見たい。そしてキューバはパーマカルチャーの先進国。パーマカルチャーをこの目で見たい。

・・日本にいる時からずっと考えていた。そしてずっと憧れていたキューバと言う国へ行ける喜びを感じながら準備を進めていた。

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